

「1店舗に1名は障害のある従業員を配属」を約8割達成しているユニクロ。その店舗で活躍する山口貴洋さんの職場に、知的発達障害者のスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス日本」で応援歌を歌ったことで、障害者就労に関心を寄せた松浦亜弥さんが訪れた。キャリアのあるプロ同士が、仕事感を素直に語り合い、共鳴した!
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山口「人がイヤがる仕事も、着合い入れて進んでやるのが自慢!」
松浦「私の笑顔を生む原動力は、声援と『ありがとう』の言葉です」
松浦亜弥さん(以下、松浦):山口さんのお仕事って、スゴい細かな作業ですよね。段ボール箱から商品を取り出して、ビニール袋を破って、一つ一つにインクタグを付けて、キレイにたたんで、お店に並べる。とっても慣れた手つきでベテランだなぁって。やっぱり自分が準備した商品をお客さまが買ってくださるって、嬉しいものですか?
山口貴洋さん(以下、山口):はい! 嬉しいです。お休みの日に街を歩いてて、「あっ、あの人も、あの人も、ユニクロ着ている」って見つけるのが楽しくて(笑)。
松浦:さすが、わかっちゃうんですね! でも、1日に段ボール30箱分の商品を一つ一つていねいに準備するって、ツラいとか思いません?
山口:終わると、やったーって、スッゴく達成感を味わえます。それにほかのスタッフと一緒に作業したり、みんなも声をかけてくれるから、ツラいと感じたことはありませんね。
松浦:あんまりストレスを感じないタイプ?
山口:うーん、どうだろう? ビニール袋をビリビリって破ることが、僕の安上がりのストレス解消法かも(笑)。
松浦:(笑)スゴい! 達成感とともにストレス解消もできるなんて、いいですね~! そのがんばれる源って何ですか?
山口:みんなのために、「ユニクロファミリー」のために、という気持ち。皆さんがラクに仕事できるよう、バックルーム(バックヤード)で準備するのが僕の役目だと思ってるから。あややさんは?
松浦:私はやっぱりファンの皆さんからの声援が原動力。電波を通して皆さんに向かって歌ったり、話たりするでしょ? 私こそ皆さんに「ありがとう」なんですけど、皆さんからたくさんの「ありがとう」の言葉をいただくんです。それと、家族の支えもがんばれる源ですね。山口さんはご家族と暮らしているんですか?
山口:去年から、将来の自立準備のためにグループホームで暮らしています。家には週末だけ帰ります。
松浦:じゃあ、普段はご飯も自分でつくってるの?
山口:ホームでは食事を出してくれます。でも、僕は料理が得意なんで、実はほとんどつくれるんですよ!
松浦:うわっ! 揚げ物も?
山口:そっ、それだけはちょっと恐くて(笑)。
松浦:お仕事で、これだけは人に負けない、自信があることはあります?
山口:みんながイヤがる仕事を進んでやることですね。
松浦:えらーーーい!! いや、スゴいです、ホントに。正直、もう辞めたいって思ったことはないんですか?
山口:1年がんばれば、もう1年がんばれる。そう思いながらやってきました。「ユニクロファミリー」のみんなと、決めた目標に向かってがんばって行くぞ!って、やる気も出ます。
松浦:チームワークもいいんですね。だから余計に、みんなのため、って思えるんでしょうね。
山口:はい! それぞれ役目があって、バックヤード、販売、レジ、お店だけじゃなく本部もみんなそろってこそ「ユニクロファミリー」だから。
やる気ひとつで一歩踏み出す勇気に
山口:僕が仕事で大切にしているのは、「ユニクロファミリー」でがんばって、協力して、商品を売っていくこと。お店では品切れがないように、いつも棚をチェックして、すぐに出せるようバックヤードで準備しておくんです。お客さんにいつも喜んでもらえるよう、人気商品や人気のカラーは特に気にしてチェックしてますね。
松浦:さっき、まさにその通りに動いていましたね! 常に自分で仕事を見つけ出しているのがわかりましたもん。次から次へとお仕事しながら、同時に片付けもして、スゴいバックヤードも整然としているなぁって。
山口:自分が気づいたらすぐ動くようにしていますね。あややさんは、仕事で何を大切にしているんですか?
松浦:電波を通したお仕事をさせていただいていることって、自分が思っている以上に、スゴく影響力があることなんだなぁと感じています。だから、小さな子どもの見本でいられるように、しっかりした意識を持ってお仕事することが大切だなって思ってますね。
山口:社会人としての意識ですね?
松浦:そう! そうなんです! 山口さんは就職して6年ですよね? 仕事を続けられる秘訣って何ですか?
山口:さっきも話した達成感。それと、本部が実施するボランティア活動を楽しみにしていること。香川県の豊島で、年2回行われるオリーブ植樹ボランティアに毎回参加しています。それを楽しみに、あと半年がんばるぞーって。将来は、難民キャンプへの衣料支援活動にも参加したいんです。
松浦:仕事でもボランティアでも、新しい挑戦ってドキドキすると思うし、不安や緊張もあると思うけど……。
山口:ええ、ありますけど、やってみたいという気持ちがあれば大丈夫。それと気合い!
松浦:そう! 気合いですよね~。私はデビューして8年、あっという間で、不安を感じている時間もなかったかも。14才からお仕事して今22才。これからもっといろんなことに挑戦したいなって思っているんです。
山口:14才! スゴいなぁ。どうやってデビューしたんですか?
松浦:ずっと芸能界への憧れは持っていたけど、自分からアクションはしていなかったんです。でも中学生の頃、「このままでいいのか、私の人生!」って思ってね(笑)。まだ13才くらいだったんだけど、人生というものを大きなスパンで考えたことがあったんです。それで思い切って応募したら、初めてのオーディションで合格して……。
山口:がんばって挑んでみないと、何もわからない。
松浦:そう! 初めの一歩って、ちょっとした勇気ですよね。その日、その日を過ごしていると、1週間とか1年とかの短い期間で考えがちだけど、「人生」と長く考えるようにすると、何かにチャレンジする勇気って、意外と湧いてくるのかも知れませんね。山口さんはユニクロに就職する時、どうでした?
山口:学校を卒業する前に、3つくらいの企業で実習研修を受けて、そのひとつがユニクロでした。研修を受けてみて、ここで仕事がしたいって思ったんです。希望通りに入社できて嬉しかったぁ。でも、最初の頃は、今みたいなスピードで仕事できなくて……。自分にイラッとしたこともありました。注意もされたし、叱られたこともありましたし。
松浦:そういう時は、ビニール袋をビリリッと破いて発散?(笑)
山口:(笑)はい。でも働くって、みんなでがんばれる、僕もがんばろうって思える。お給料で好きなものも買えるし、将来のために貯金もできる。ぜんぶ自分のためになる。もしイヤなことがあったとしても、コツコツ地道に働くこと。それが自分のためだと思うから、気合いでがんばれる!
松浦:スッゴいポジティブ!! うん、その考え方って大切ですね。山口さんのように、私も気合いでがんばります。
山口:はい、気合いですよ! 気合い!
歌手松浦亜弥さん22才まつうら・あや/1986年、兵庫県生まれ。第4回平家みちよ&モーニング娘。妹分オーディションに合格し、14才でデビュー。「あやや」の愛称で親しまれ、お茶の間の人気アイドルに。『メレンゲの気持ち』、『コラボ☆ラボ』、『FIVE STARS』などテレビやラジオのレギュラー番組も多数。20枚目のシングル『きずな』は「2008年第4回スペシャルオリンピックス」の日本応援歌になった。
アップフロントオフィシャルサイト
http://www.ufg.co.jp/index.html
幼い頃の夢は?歌手、保育士、トラックの運転手、セーラームーンとか(笑)。夢はたくさんありました
リスペクトしてる人は?固有名詞を挙げたら、キリがないです(笑)。これまで関わってきた皆さん、リスペクトしています
好きな言葉は?「ありがとう」。身近な人にこそ言いたい言葉です
趣味は?海外ドラマや映画鑑賞
初めての給料、どう使った?実家へ帰省する交通費。当時は、中学生だったので軽いホームシックで、お休みがあると日帰りでも実家に帰っていました
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